江戸から昭和にかけての昔懐かしい雰囲気が残る、香川県三豊市仁尾町。ここには、地域の人が長く愛し続けてきたこの土地ならではの味覚が多くあります。江戸時代創業の米酢醸造所、昭和の時代からこの地域に暮らす人々の胃袋を満たしてきた中華そばやたこ判…。そのどれもが仁尾を語るに欠かせない、土地の味です。町を少し歩いてみると、そうした仁尾ならではの味わいに出合えます。
三豊市のご当地グルメ「たこ判」の発祥店
たこ判とは、大判焼の型で焼いた大きなたこ焼のことで、タコや山盛りのキャベツなどを入れて鉄板で手際よく焼いたもの。その発祥店が、ここ「元祖たこ判 小前」です。基本のたこ判のほか、もちたこ判、コーンたこ判など種類が豊富で、一番人気は卵たこ判。大人でも1つで十分満足できるボリューム感とお手頃価格が魅力です。昭和の時代から地域の人々の小腹を満たしてきた、長く愛される一軒です。
鶏ガラとイリコでとるスープが味の決めて
今では珍しいかまどが現役で使われている、昭和の懐かしい雰囲気が漂う食堂です。鶏ガラとイリコからじっくり取ったスープにチャーシューの仕込みに使った醤油を加えた、コク深い味わいの中華そばが店の名物メニュー。イリコだしが香る素朴な味わいのうどんや、きつねずしもおすすめです。
昔懐かしいパンが人気の一軒
おばあちゃんが一人で店を切り盛りする、昭和から続くレトロなパン屋。店構えはもちろん、ガラスケースの中に一つひとつ袋に入ったパンが並ぶ様子など、懐かしい佇まいが印象的です。月・木曜は菓子パン、火・金曜は食パン、水・土曜は揚げパンと曜日によって販売するパンの種類が変わり、正午ごろが特に種類豊富に並びます。人気は、こし餡や季節限定のカボチャ餡などが登場する揚げパンです。
伝統の杉樽製法で醸造される米酢
1741年創業の、香川県で一番古い米酢醸造所「中橋造酢」。井戸水を使い杉樽で発酵を行う創業当時からの変わらない伝統製法で、米酢「仁尾酢」を作り続けています。クセがなくまろやかな味わいが特徴の「特吟 仁尾酢」のほか、柑橘類やポイセンベリー、桃、イチジクなど三豊市内で育ったフルーツを原料にした調味酢も人気。店舗で商品を購入できるほか、醸造蔵は要事前予約で見学が可能です。
●DATA
1枚1枚手作業で作る絶品天ぷら
町内で100年以上続く老舗かまぼこ屋を後継し、営まれる一軒です。地元で獲れた魚で作るかまぼこのほか、天ぷらも地域の人々に長く愛されてきました。仁尾町でいう天ぷらとは、大きな石臼で挽いたすり身を巻き簾で丁寧に形にしてから揚げた、揚げかまぼこのこと。昔ながらの製法で、一つひとつ手作業で作り続けられています。店では揚げたても注文できるので 、ぜひ味わってみてください。
朝揚がったばかりの海の幸が集結
三豊市は「天然のいけす」と呼ばれる燧灘(ひうちなだ)に面しており、海の幸が豊富。仁尾町漁協の魚市場で開催される「朝獲れ朝市」には、揚がったばかりの鮮魚がズラリと並びお手頃価格で購入することができます。プロのように魚を競り落とせる「せり」への参加も可能で、臨場感もあり。朝獲れ朝市は主に夏季・冬季をのぞいて月1〜2回程度行われ、7:30〜なくなり次第終了です。多くの人で賑わうため、早めに行くのがおすすめです。
●DATA
「仁尾町漁業協同組合 魚市場」
HP:朝獲れ朝市(三豊市観光交流局HP)
地図:香川県三豊市仁尾町仁尾丁1444-1
香川県を代表するご当地グルメ、讃岐うどん
うどんの麺を製造する製麺所で提供するうどんや、注文から全て自分で行うセルフタイプのうどんなど、さまざまなスタイルで楽しめる讃岐うどん。各店それぞれにこだわりのあるうどんを堪能してください。
●DATA
① 「えびすや」三豊市仁尾町仁尾丁83-3
讃岐緑想から徒歩で行ける距離。懐かしさを感じるやさしい味のうどん。
〈おすすめ〉 卵とじうどん・中華そば
〈HP〉えびすや(三豊市観光交流局HP)
② 「三好うどん」三豊市高瀬町比地1583-1
角がしっかり立ったコシの強い太めのうどん。天ぷらは、注文が入ってから揚げる熱々のものを提供。
〈おすすめ〉 とり天ぶっかけ
〈HP〉三好うどん(四国新聞HP)
③ 「上杉食品」三豊市豊中町上高野2791
明治40年創業の商店兼製麺所。朝のみの営業で、製麺所ならではの出来立てうどんが魅力。喉ごしの良い麺が特徴。
〈おすすめ〉 かま玉うどん・醤油うどん
〈HP〉上杉食品
④ 「心うどん」三豊市詫間町詫間経面2102-16
うどん玉を湯がくところから出汁を注ぐまで、完全セルフの店。イリコ出汁とコシの強い麺、昔ながらの讃岐うどん。
うどん大と天ぷらをチョイスして400円以下ととにかく安い。
〈HP〉心うどん(三豊市観光交流局HP)
⑤ 「手打ちうどん つるや」観音寺市坂本町3-7-18
夜営業もしている数少ない店。もっちりとした食感のコシのある麺。親子丼やカツ丼などのごはんメニューも。
〈おすすめ〉 肉うどん・黄金(こがね)うどん
〈HP〉手打ちうどん つるや(四国新聞HP)
⑥ 「本場かなくま餅 福田」観音寺市流岡町1436-2
お餅屋とうどん屋が一緒になった店。白みそアン雑煮うどんは、白みそ・あんこ・イリコ出汁が調和する讃岐の郷土の味。
〈おすすめ〉 白みそアン雑煮うどん
〈HP〉本場かなくま餅 福田
※定休日や営業時間など事前にご確認のうえ、お出かけください。
食を楽しむ
土地の素材を味わう
瀬戸内海に面した香川県三豊市仁尾町で食事を楽しむなら、美しい海景色を望めるカフェやレストランがおすすめです。また香川県のご当地グルメ、うどんや骨付鳥はもちろん、ボリューム満点のハンバーガーが味わえる一軒や季節のフルーツを使ったかき氷を提供する専門店など、バラエティ豊かな個性派グルメ店がそろいます。この地ならではの食材をふんだんに使用した、各店自慢の一品を堪能してみてください。
瀬戸内食材×地中海料理を堪能
瀬戸内のさまざまな食材を地中海料理で提供するレストランです。瀬戸内海で獲れた鮮魚、農薬を使わず有機栽培で育てた柑橘や野菜をはじめとした旬の食材を使用し、素材の持ち味を生かした料理を振る舞います。「讃岐緑想」からもすぐ近くの父母ヶ浜に隣接し、開放的な空間から美しい海を眺めながら食事ができることもこの店ならではの贅沢です。
海が目の前に広がる仁尾の絶景カフェ
美しい海景色が自慢の仁尾町では、海沿いや海の近くに建てられたカフェが人気です。使われていなかった倉庫をリノベーションした「cafe de flots」は、目の前の海から作る自家製の塩を料理に使用するのがこだわり。また「SUN CAFE」では、本場ナポリの素材と製法にこだわって焼くピッツァや、海を見ながらのBBQが魅力です。刻々と移りゆく海景色を目にしながら、時間を忘れてゆったりとくつろぐことができます。
●DATA
① 「cafe de flots」
香川県三豊市仁尾町仁尾乙165-1
地元育ちのフルーツで豊かに彩るかき氷
三豊市のさまざまなフルーツを使ったかき氷が年中味わえるかき氷カフェ。イチゴ、レモン、栗や柿、サツマイモやミカンなど、四季を通じて多彩な果物が生産される三豊市の魅力を、かき氷を通じて発信しています。シロップは手作りで、氷の中にはゼリーを入れるなどのアイデア多彩なオリジナルかき氷が期間限定で登場。時季によりあんバタートーストやミネストローネなどの軽食も楽しむことができます。
鮮度抜群な卵で味わう卵かけご飯
仁尾町にある養鶏場が、瀬戸内の豊かな自然の中で育てた自社ブランド卵「父母ヶ浜・Sたまご」。新鮮さはもちろん、カルシウムイオン還元水を与えて育てた鶏が生む卵は、低カロリー、低コレステロール、低脂質、高タンパクと良いこと尽くめ。ここでは、その卵を使った卵かけご飯が味わえます。メニューはシンプルな卵かけご飯のほか、おまかせでおかずが付いたセットなども用意しています。
●DATA
香川県三豊市仁尾町仁尾乙2490-5
肉質の違いを楽しめる人気の骨付鳥
香川県のご当地グルメ・骨付鳥を提供する、父母ヶ浜近くの一軒です。大将おすすめの骨付鳥は、食べ応えがあり鶏の旨みが凝縮された親鳥、柔らかい肉質でジューシーな味わいが魅力の若鳥の2種類。また焼き牡蠣やミル貝の炙り焼きも自慢の一品です。
●DATA
香川県三豊市仁尾町仁尾乙2490-5
店主の遊び心が生きたハンバーガー
父母ヶ浜を臨む場所に位置するアメリカンな空間が魅力の、サンドイッチやドーナツなどが楽しめるベーカリーカフェ。看板メニューはハンバーガーで、麹を使って天然酵母で焼き上げるバンズに、さまざまな食材をボリュームたっぷりに挟んでいます。和栗×パストラミ、牛すじ×パクチーなど、食材の組み合わせの妙が楽しめるさまざまな期間限定ハンバーガーもおすすめ。海の見える席に座って味わえるほか、テイクアウトも可能です。
地元の恵みを封じ込めたお土産もの
仁尾町内で製造される、地元ならではのお土産も多彩です。車海老やバジル、いりこなど県内素材を生かしたフレーバーオイル「SETOUCHI Flavor Oil」や、三豊市内で大切に育てられたノーワックスレモンを使用する「レモンのマーマレード」など、地元の恵みをたっぷりと封じ込めたアイテムがそろいます。
●DATA
「SETOUCHI Flavor Oil」
① にがり衞門 / 香川県三豊市仁尾町仁尾辛1
「レモンのマーマレード」
② Lolo Rossa / 香川県三豊市仁尾町仁尾甲477-1